AIに期待しつつ、AIを作る企業は信頼していない。それは矛盾なのか。
Anthropicが6月12日に公開したResults from the first Anthropic Public Recordは、2025年11〜12月に米国約52,000人を対象に実施した大規模調査だ。要点は三つ。AIへの期待トップは「がんや難病の治療」(48%)、最大の恐怖は「雇用喪失」(64%)、そして政府によるAI規制を支持する人は70%超——しかも党派を超えた支持として現れた。
最も注目すべき数字は、AIを開発・運用する企業を信頼すると答えたのがわずか15%という点だ。高い期待と低い信頼が同時に成立している。
ここで重要なのは、規制支持の「中身」だ。プライバシー保護(56%)、子どもの安全(52%)、被害への法的責任(49%)——いずれも「AIを止めたい」ではなく、「AIが広がった先のリスクを管理したい」という要求だ。人々はAIの恩恵を得たいからこそ、それを守る仕組みを求めている。
「AIに賛成か反対か」という軸で民意を読むのは、もう古い。調査が示したのは、AIを「どう普及させるか」の設計を企業任せにはしたくないという意志だ。15%という信頼の低さは警告であると同時に、アカウンタビリティを高めることで信頼を積み上げられる余地でもある。今後のAI政策論議は、この民意の構造を出発点に置くべきだろう。
出典:Results from the first Anthropic Public Record(Anthropic, 2026年6月12日)
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